【対談】一般社団法人Onara 丘咲つぐみさん:小さくても勝てる!メディアに出るチャンスをつかんだ広報PRから生まれたヒーロー

第1回:一般社団法人Onara 丘咲つぐみさん
未来を勝ち取るメディア取材の自動化の手法
1. はじめに:なぜ「小さな存在」が社会を動かせるのか
広報PRは大企業の専売特許ではありません。むしろ、リソースの限られた小規模な組織こそ、PRを経営戦略の核に据えるべきです。メディアが求めているのは、社会を揺さぶる「切実な当事者性」と、大手には真似できない「圧倒的な機動力」だからです。一般社団法人Onaraの代表 丘咲つぐみさんは、まさにその体現者。非営利団体でありながら、PRを武器に国会議員や大臣を動かし、制度変革の波を作り出しています。
乙坂章子(以下、乙坂): 丘咲さん、本日はよろしくお願いします。今や私は丘咲さんのことを敬意を込めて「PRモンスター」と呼んでいますが、まずは「一般社団法人Onara(以下、Onara)」の活動についてお聞かせください。
丘咲つぐみさん(以下、丘咲さん): よろしくお願いします。Onaraは、子ども時代の虐待や家族の機能不全などの「逆境的小児期体験(ACE:Adverse Childhood Experience)」を持つ成人、いわゆる「ACEサバイバー」の支援を行っています。「ACEサバイバー」へのアンケート調査、居場所となる「おならカフェ」の運営や相談対応、そして制度の充実を目指した政策提言や啓発活動が主な活動です。
乙坂: 実は、私は丘咲さんと出会って私のPR観は180度変わったんです。以前の私は数字や露出件数を追う側面が強かったのですが、あるイベントで丘咲さんがACEサバイバーの方々と抱き合って涙を流している姿を見て、「世の中を救い貢献する人々にPRを教えることによって、間接的に救われるべき人を救えるんだ」と痛感しました。
【小さくても勝てるポイント】 小規模組織がPRで勝てる理由は、意思決定の速さと「顔の見える」熱量にあります。大企業がコンプライアンスや決裁ルートに時間を取られている間に、当事者であるリーダーが自ら動く。この「当事者性」こそが、情報の真実味を担保し、メディアを動かす最強のレバーとなります。しかし、その扉をこじ開けるには、泥臭いまでの「行動」が必要でした。
2. 「300人の国会議員への電話」が証明したアナログの突破力
効率化が叫ばれるデジタル時代に、丘咲さんが取った戦略は「超アナログ」な個別アプローチでした。
乙坂: 丘咲さんは、2025年10月の院内集会を開催した際に、国会議員300人への直接アプローチされたとのことですが、なぜ、あえてそんな非効率な方法を選んだのですか?
丘咲さん: 当初はスタッフに分担してもらう案もありました。でも、ふと思ったんです。「私の熱量で伝えないと意味がない」と。300人全員にまずFAXを送り、その直後に「今、送りました」と電話をしました。さらに議員会館の各部屋を直接訪ねる。これを多い方には4〜5回繰り返しました。
乙坂: 300人に何度も……!「ガチャ切り」されたり、厳しい言葉をかけられたりすることもあったのでは?
丘咲さん: もちろん「掛けてきても対応できない」と拒絶されたこともありました。でも、丁寧な連絡を重ねるうちに、秘書の方が私の声を聞いただけで「あ、丘咲さんですね」と認識してくれるようになったんです。事務的な「攻略対象」から、血の通った「人間関係」に変わった瞬間でした。
乙坂: その執念が、自見はなこ元こども政策担当大臣を動かしたのですね。
丘咲さん: 自見議員は当日、別の予定が入っていたのですが、粘り強いアプローチの結果、「一部の時間だけでも」と院内集会に駆けつけてくださいました。
【小さくても勝てるポイント】 ここで注目すべきは、丘咲さんが「他人任せにしなかった」という戦略的判断です。多忙な政治家や秘書は、マニュアル通りの代行業務には反応しません。代表自らが「100%の想い」を乗せて頭を下げるという、代替不可能な価値が信頼を勝ち取ったのです。一見非効率に見えるアナログな行動こそが、最強の信頼構築術であることを彼女は証明しました。
3. 「点」ではなく「面」で攻める:社会変革のための戦略的連動
単発の露出で終わらせない。丘咲さんのPRは、緻密に計算された「戦略的連動」によって、社会に抗えない大きなうねりを作りました。
乙坂: 丘咲さんの動きは非常にロジカルです。大きな成果を出した際、どのような設計をしていたのでしょうか。
丘咲さん:「独自のアンケート調査」「院内集会」「映画制作のクラウドファンディング」の3つを、あえて同じ時期に集中させました。アンケート結果を提示し、政治を動かし、世論を巻き込む資金調達を連動させることで、メディアが「今、これが社会の潮流だ」と取り上げざるを得ない「面」の状況を作ったんです。
乙坂: いきなり大勝負に出るのではなく、段階も踏んでいましたよね。
丘咲さん: はい。本番の大きなイベントの前に、小さなイベントでプレスリリースの送付や取材対応の「予行演習」を繰り返しました。そこでメディア関係者との接点を温めておいたからこそ、勝負どころで爆発的な露出を生むことができたんです。
乙坂: その結果、一時期はメールボックスに400件以上の問い合わせ(メディア・一般含む)が殺到したとか。
丘咲さん: 取材はゴールではありません。継続的に報じられることで「見えない課題」を可視化する。PRは、制度を変えるための「手段」だと捉えています。
【小さくても勝てるポイント】 丘咲さんが実践したのは、ゴールからの「逆算思考」です。メディア露出を単なる宣伝ではなく、社会のOSを書き換えるためのレバーとして活用する。小さなイベントでメッセージの反応をテストする「段階的設計」は、失敗を恐れる小規模事業者にとって極めて再現性の高い戦略と言えます。
4. PRの本質は「人間力」:記者をファンに変えるコミュニケーション
PR(パブリック・リレーションズ)の本質は「人間同士の信頼構築」にあります。丘咲さんは、記者を「一人の人間」としてリスペクトすることで、取材対象を超えた関係を築きました。
乙坂: 記者の方々と非常に深い関係を築かれていますが、何か秘訣はありますか?
丘咲さん: 記者さんを「メディアという機能」ではなく、「一人の人間」として接することです。久しぶりに連絡する際は「最近どうですか?」と気遣い、相手の記事が評価された時は一緒に喜ぶ。相手のニーズを丁寧に聞き出し、自分に何ができるかを常に考えています。
乙坂: その結果、メディア関係者から驚くべき申し出があったそうですね。
丘咲さん: 「映画制作をボランティアで手伝いたい」と言ってくださる記者さんやディレクターさんが現れたんです。「構成案を練ります」「カメラを回します」と、職能を活かして協力してくださる。単なる取材対象を超え、同じ未来を目指す「同志」になれたことは、私にとって最大の財産です。
【小さくても勝てるポイント】 AIが記事を量産する時代だからこそ、現場の記者は「真実味」と「人間としての信用」を求めています。丘咲さんのように相手の成功を願い、リスペクトを払う姿勢は、記者を「応援団」に変える。この「人間力」こそが、どんなデジタルツールも届かない領域へ情報を届ける力になります。
5. 展望:ACEサバイバーが「生きてきてよかった」と思える社会へ
PRの最終ゴールは、社会の意識変容と制度の定着です。丘咲さんは、次なる大きな旗を掲げています。
乙坂: 現在、2027年11月の公開を目指して映画制作を進められていますね。
丘咲さん: はい。言葉だけでは伝わりにくいトラウマの深刻さを可視化して、誰もが生きやすい社会にするための挑戦です。これは、制度ができなくても、民間からできる形での生きやすい社会作りのためです。また、制度ができて終わりではありません。自治体や現場での運用が伴わなければ意味がない。これが「次の壁」です。
乙坂:制度を「作る」段階から、正しく「機能させる」段階へのPRですね。
丘咲さん: そうです。虐待を受けてきたすべての子どもたちが、「生きてきてよかった!」と心から思える社会にする。そのために、これからもPRを武器に動き続けます。
【小さくても勝てるポイント】 PRは一度成功して終わりの「点」ではなく、課題を解決し続けるための「継続的なループ」です。国を動かし、次は自治体を動かす。大きな旗(映画公開)を掲げ続けることで、ステークホルダーとの関係性を維持し続ける丘咲さんの姿勢は、社会変革を目指すすべてのリーダーに勇気を与えます。
6. 読者へのメッセージ:言われたことを「素直にやる」勇気
丘咲さん: 私は、知らない世界のことを自分ひとりで考えているのは勿体ないと思っています。だから専門家に「こうやってごらん」と言われたことは、疑わずにまず全部やります。100件電話しろと言われたら、迷わずやる。その「素直さ」こそが、結果を分ける武器になるのだと思います。
乙坂:PRは決して魔法ではありません。やるべきことをやるだけ。でも、その「やるだけ」を愚直にやり通せる人が、最後には社会を変えるヒーローになれるのですね。
丘咲さん:小さな企業でも、想いがあって動き続ければ実現へと向かいます。今日から一歩を踏み出す勇気を持ってほしいです。
丘咲つぐみさんから学ぶ「ヒーローになるための3つの鉄則」
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「当事者の熱量」を戦略的に投下する。PRを外注・代行任せにせず、リーダー自らが「100%の想い」を直接伝える。その泥臭い「アナログな突破力」こそが、多忙な相手の心を動かす。
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「面」の設計で社会の潮流を演出する。調査、イベント、クラウドファンディングなどを同時期に連動させ、さらに小規模な予行演習を重ねる。段階を踏んで露出を最大化させる「逆算のロジック」を持つ。
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記者を「同志」に変える人間力を磨く。メディアを「拡散の道具」と見なさず、一人の人間としてリスペクトする。相手の喜びや苦悩に寄り添う誠実なコミュニケーションが、長期的な支援者(ファン)を生む。
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対談動画、以下でご覧いただけます。

